和光中学校の学習は、基礎・基本的な知識を身につける学習にとどまらず、発展的な学習に力を入れています。本物に触れ、体験と知識が自分の心を捉える瞬間が積み重なり合うと、自分の世界が揺さぶられ、学びが自分事としてあらわれてきます。自ら学びたいと思うその想いは、深く広がりのある知への探究心へと繋がります。
私たちは、自分と仲間の「なぜ?」を出発点に、視野を広げ、視点を養い、他者と共に学び合う応答関係の中で生きる力となる賢さを追求しています。
言葉は「人をつなぐもの」であり、「固有の存在を示すもの」
言葉は、自己と他者を結び、他者に働きかける自己を創り出すものとして、全ての学びの根幹にあります。
国語科では、豊かな言葉で表現された作品世界を、仲間と共に探究する中で、自己の感性や思想を能動的に表現できる力と、自他の存在を対象化できる力の獲得を目指します。そして、根拠に基づいて意見を述べ、論点を捉えて柔軟に議論することができるような論理的な思考を育てたいと思います。
「表現と応答」の中で価値ある自分を見出す授業
「言葉の多様性・象徴性を学び、美しく豊かな日本語の使い手になる」ことを目指し、授業ではコトバの様々な機能・特性・仕組みを学年ごとに発展させながら繰り返し学びます。自分の考えや思いは沢山の異なる意見や想いの中にあって、それがどんなに未熟であっても尊重され、応答してもらえる価値のあるものだと実感できれば、人は自分の思いを丁寧に伝えようとします。ですから、和光中学校の国語の授業では「自分の言葉で表現すること」と、「他者の言葉とその向こうにある思いを受けとめ、応答すること」を大切にします。また、単元の終わりには、「批評文」「意見文」の執筆や、絵・写真など他の表現と合わせた作品の創作などを行い、交流し合う機会を設けます。
心を揺さぶられるような授業を
1年生では「地理」分野、2年生では「歴史」分野、そして3年生では現在につながる近現代史や国際情勢、現代日本の諸課題などの「公民」分野を扱います。和光中学校では、これらの分野はすべて“今の自分たちが生きている現代社会や「現在」のさまざまな事象を理解し、読み解くことにつながっている。”と考え、分野を超えたタイムリーな社会的事象を扱うこともしています。現代社会には広く共有し解決すべき課題が数多く存在しています。その中から私たち人類が「共に生きる」ために大切な5つの視点(平和、人権、文化、環境、経済)からタイムリーなできごとを取り上げることもしながら、深く掘り下げた授業を展開し、授業後の休み時間や家庭で「ふと、話題に上がるような授業」を目指します。今までは気にも留めなかった出来事や、なんとなく気になっていた出来事を、深く学ぶ授業を通して、ニュースなどに対する関心が高まることにも期待しています。
さまざまな人が共に生きているこの世界で現在おこっていることを知り、心を揺さぶられ、自分の頭で深く考えた生徒は、「自ら学ぶこと」を始めます。授業で学んだことを誰かに伝えたり、「なぜ?どうして?」と自分自身で探究を進めたり、他者との意見交流を求め、新たな視点を獲得しようとします。
和光中学校の社会科では、インプットした知識をただアウトプットする、いわゆる暗記教科として学ぶことや、各分野をバラバラに学ぶことでは身につかない、「自ら学ぶ力(=生きた学びの力)」をつけていくことを目指します。
和光中学校の数学科で目指すこと
数学とは、現実の世界にある色々な量や形から万人に共通して認められる法則をつかみ、自然や社会の構造を読み取り・分析するために数学語として式や定理にまとめられたものです。
「数学をやっても実際の生活で使うことなどない」と考えている人もいるかと思います。しかし、仕組みや法則などを見つけ利用し、具体的な現実の課題解決につなげていくことは、社会に出て生きる力につながります。『子どもに伝えたい三つの力 生きる力を鍛える』(2001.斉藤孝 NHKブックス)という本の中で、「子どもに伝えたい力の基本は、<コメント力(要約力・質問力を含む)>と<段取力(物事を進める力や人をまとめる力>と<真似る盗む力>という三つの力である。」とあります。
和光中学校の数学科では、「現実から法則へ、法則から現実へ」という考え方のもと、結果を求める受験勉強ではなく、数学史なども通して、構造・仕組み・原理がわかり、その過程で<段取力>や<真似る盗む力>を身につけることも大事であると考えています。
理科の実験や観察をしているとき、生徒たちはいきいきとしています。未知なるものへの憧れ・好奇心、驚き・発見、人生の喜びがそこに存在しています。それだけではなく、お互いの協力や感想と意見交流があるからこそ、みんなで共に学ぶことの大切さに気付かされます。自分にない視点・発想、同じ物事を見ても違う感じ方、なぜそうなるのか本当に不思議です。でも、そう感じたところにはきっと、理由があるのです。
全ての物事には理由があります。空に向かって投げたものが地面に落ちるのも、枯れたように見えた木が春に葉をつけ花を咲かせることにも、友達が起こることも、自分の心がウキウキすることにも、全てのことにはそうなる理由があります。もちろん、うまく説明できない物事も世の中にはたくさんあります。しかしそれは、「今はまだ上手く説明できない」だけで、いつかきっと、きちんと説明できる時が来ます。それまで「どうしてなのか」疑問をずっと持ち続けて理由を説明しようと考え続ける人がいて、世の中の「わからない」ことが少しずつ「わかる」ようになりました。
和光中学校の授業は、「自然科学」という分野の「なぜだろう、どうしてだろう」という疑問を持ち考える方法を学びます。今わかっていることでもじっくりと観察し、実際に観察したり実験してみると、やっぱりワクワクして、発見の感動を味わえます。授業では、「問い」を大事にしています。自分は疑問に思わなくても、クラスの誰かが出した疑問を自分のこととして捉え、どうすれば納得のいく説明ができるかを一緒に考え、自分の心で感じて思考してほしいと思っています。
化学を基本に、生物・地学・物理分野を学習します。世界は原子・分子でできていて、それがエネルギーを持ち集まり、生物の体をつくり地球環境を成立させていることを、意識して学習します。実験や観察を多く行い、実際に体験することを重視しています。
英語を窓に世界に出会う、自分に出会う
私たちは言葉を通して「世界」を捉え、他者と繋がり、自分を見つけることができます。言葉とは人の営みであり歴史であり、土地や風土によって生じるその多彩さは人類そのものの多様性を表しています。外国語学習は自分とは異なる「世界」との出会いです。異質なものと出会ったとき、はじめて人は自分の「世界」を意識し、自己への問いを持ちます。また、慣れ親しんだ言語とは別の言葉で自分を表現できることは、他者とのかかわり方を豊かにします。
和光中学校の英語科では、外国語学習を通して多様な価値観に触れ、自らの言葉や想像力、そして他者との繋がりを豊かにし、民主的で平和な世界を構築する人を育てることを目指しています。
「自律した学習者」になる
言葉の学習は生涯にわかって行われるものです。英語科の授業では、自ら学び続ける「自律した学習者」となるために、言語の学び方を見につけてほしいと考えています。学びを自分のものにするためには、まず「なぜ」「どうして」を耕すことが必要です。理屈抜きの繰り返しによって言葉を覚えた幼い頃とは異なり、抽象的な思考が発達する中学生は、母語との違いを手掛かりにして論理的に言語学習に向き合える世代です。例えば文法を学ぶとき、仕組みを教わって反復練習をするだけではもったいないと考えます。長い時間をかけて編纂された辞書を片手に、その文法の表す「理屈」や「つくり」に着目し、参考書を調べながらそれぞれに納得のいく文法レポートを作成します。その学びは、英語の原書を読んだり、自分の考えを英作文にまとめたり、英語圏出身の専任教員とコミュニケーションをとる中で実践的に深められます。
自ら学び続けることは、必ずしも独りで学ぶことを意味しません。授業の中では、クラスメイトの一言から何かに気づき、自分とは違う発想の誰かの疑問から思考が深まる経験を大切にしています。和光中学校の掲げる「共に生きる」を授業をとしてどう実現するのか、生徒たちと共に模索しています。
仲間とつながっていく楽しさと出会う
和光中学校の音楽科の授業では、「音に意味を探すこと」と「音で思いを伝え合うこと」という2つの柱を立て、生徒たちの音楽的な感性を育んでいます。
音に意味を探す
音楽は単なる音の集まりではありません。それぞれの音符には、作曲家の想いや、その曲が生まれた背景、そして聴く人それぞれの心に響く様々な意味が込められています。授業では、楽譜を読み解き、作曲家の意図を考えたり、最新の作曲ソフトを使って実際に楽譜を書きながら少しずつ楽譜を読み解く力を養います。モーツァルトの有名な「きらきら星変奏曲」を取り上げ、モチーフと変奏の関係を一緒に考えたり、歌の歌詞に込められたメッセージを読み解いたりする活動を通して、音楽の奥深さを探求していきます。
音で想いを伝え合う
音楽は、言葉では表現できないような心の動きを伝えることができる、素晴らしい文化です。和光中学校には合唱で思いを伝える文化が過去の先輩たちから伝統として引き継がれています。入学式、卒業式、秋田学習旅行など、節目となる行事で自分達の思いを込めた「歌」を届け受け止め合います。新入生をお祝いする気持ち、三年間過ごした仲間と別れ旅立って行く切なさ、新しい出逢いへのワクワク、秋田でお世話になった方々への感謝や離れがたい寂しさなど、多感な十代の抱く様々な思いを込めて、時には涙を流しながら歌います。器楽アンサンブル発表の授業では、各自のパートの役割を理解しつつ音楽の流れを作り上げる楽しさを仲間と分かち合います。3年生の芸術選択ではギターアンサンブルの授業もあります。
芸表現するということは、自分を他人に伝えるということです。自分の気持ちを言葉で相手に伝える、これも一つの表現ですが、絵や作品で自分を相手に伝えるという表現方法を美術科では学んでいきます。
主体的な活動が求められる美術においては、ただ黙って聞いていれば時が過ぎるということはありません。自分がつくらなければ、決して作品は完成しないのです。思春期真っ只中の中学生が興味を持って取り組める内容とは、日々変わるものですので、その発達や段階に応じて、課題内容も検討するように心掛けています。
また、現代社会においては、自らの手や足を使ってものをつくるという行為が失われつつあります。しかし、人間の原始的な欲求として、それは確実に存在するものだと確信していますし、中学生の発達には必要不可欠なものであると考えています。
授業の特徴
美術の表現に「技術」は必要でしょうか。議論の分かれるところだと思います。しかし、和光中学校の美術科では、目標を技術力の向上というよりは、表現力の向上、つまり、自分の思いを作品で表現する力を身につけるというところに重点を置きたいと思います。授業において多くの画材を用い、様々な表現を経験することで、できるだけ多くの中から、自分に合った表現方法を探してほしいと願っています。また、美術の授業ではお互いの作品を鑑賞し合うということを大切にしています。作品を通して友人を知ること、そして受け入れることを学びます。和光中学校で、日常的に話し合う、受け止め合うということを大事にしていることが、美術鑑賞にも活きてきます。
学習内容
色彩の基本を学んだり、ものをよく見て描く「デッサン」をしたりすることからはじめ、テーマに基づき絵を描く、立体制作をする、デザインする、心象表現をするといったことを、様々な画材と表現を用いながら取り組みます。そういった制作をする中で、「上手いとか下手ではなく、表現は自由で楽しいものだ」ということを経験的に学ぶこと、そして自分で作った作品には責任を持つということも合わせて学んでいきます。
わかる・できる・わかち伝える
保健
保健科は「自分の生活を豊かに、幸せにする」ことを大切にしています。保健では生きていくうえで必要な知識を身につけ、正しく行動できるような授業を展開しています。特に、性の学習には力を入れており、思春期の体の変化のみならず、心の変化、社会との関わりに焦点を当て、男女共修で学んでいます。具体的な学習内容は「人間の生活に関わること、体や心の変化、健康と生活の関係」に関する学びです。例えば、人間が生きていくうえで水や食事、運動、休養は欠かせないものです。これらを正しくとるためにはどのように行動したらいいのかをみんなで考えます。性の学習では自分の体や異性の体の仕組みについて学び、お互いの体について理解を深めます。思春期でホルモンバランスも変わり、気持ちも不安定になりやすい中学生段階では、性についての正しい知識が必要です。情報があふれているこの世界で、正しい知識の習得の仕方を身につけていきます。
体育
体育科は「わかる・できる・わかち伝える」を大切にしています。
和光中学校では、運動が苦手な子も活躍する場があります。なぜなら、「どうしたらできるようになるか?」を考える体育の授業だからです。体だけでなく頭も使う授業を大切にしています。グループ学習を多く取り入れ、みんなで協力し合いながら授業を進めていきます。
例えば水泳の授業では、体を浮かすためにはどうすればいいのか?進むためには?呼吸は?と考えながら水泳理論を学びます。そしてその理論を自分の体で実践し検証して、試行錯誤しながら、最終的には4つの泳法を身につけます。また、自分たちが習得した理論を互いに教え合い、自分だけができるのではなく、自分の周りの人もできるように考え行動し、共に学びを深めていきます。
世の中の技術を観てみよう
技術科の授業は、「何かをつくって終わり」ではありません。
ものづくりの学習では、既存の製品を参考にしつつ、自分なりにデザインし直し、作品をつくりあげていきます。例えば、低融合金を流し込む鋳造を行ったり、旋盤を使ってキーホルダー金具を作ったりします。
電気(エネルギー)の学習では発電から電気の消費まで(つくってから、使われるまで)を学びます。また、世界各国の発電方法を比べ、私たちはどのような方法でエネルギーを利用していくべきかを考えていきます。
食生活と農業の学習では畑づくり、種まきから収穫・脱穀・製粉を全て自分たちで行い、パンやうどんを作る小麦の授業を実施しています。更に、秋田学習旅行と結んで食の社会的問題について考えます。
その他に、コンピュータの基本操作や、情報社会を賢く生きるための情報モラル、プログラミングや近年の発展が著しいAIの仕組みについて学んでいきます。
技術の授業で目指していること
現代の豊かな生活は、様々な技術によって支えられています。一方で、製品の仕組みを理解したり、製品や食物の背景にある労働を見つめる経験は年々乏しくなってきています。
技術科では、体験的な授業を通して「ワクワクした」「難しかったけど楽しかった」という想いを生徒にもってもらいたいと考えています。その想いを出発点にして技術を学び、改めて自分の生活を捉えなおし、今まで観えなかった身の回りの技術が観えるようになる生徒の姿を期待しています。
更に一歩進んで、生徒には、技術が進歩して便利な生活になっている一方で地球温暖化に直面しているこの地球の危機をどう乗り越えて行くのか等、技術の在り方を人々の選択によってどのようにしていくのか考えられる人になってほしい。そんな願いをもって技術の授業に取り組んでいます。
自分の生き方を考える 学び続ける
日常生活の中に潜む現代的社会課題をテーマとして取り上げます。自分たちの生活は、どんな想いや人の営みでつくられているのか。そこにはどんな課題を見ることができるのか。和光中学校の総合学習は、どんなことも「他人ごと」ではなく、「自分ごと」として捉えこれからを生きていくために、新聞や多様な文献にあたり、当事者から直接お話を聞く機会、そして現地に赴き実際に体験して学ぶことを大切にしています。一人で進める探求ではなく、自分なりの意見を持ち、それを発信し合い、受け止め合う応答関係の中で、共同・協同作業を通してテーマに対する多様な視点を共有することを目指します。
1年生のテーマ
マイノリティ・LGBTQ+・障がいについて考える
私たちは自分と他者と「共に生きる」ことを目指します。その土台となるのが、一人ひとりの「ちがい」を認め合うことです。自分とは異なる考え方や生き方と出会うことで、「自分らしさ」を発見し、誰かの思いに寄り添うことや、小さな声に耳を傾け目には見えないことを想像する大切さを学んでいきます。私たちは、学びを通して基本的人権を尊び、誰もが尊重され大切にされる社会の実現を目指すことができると考えています。
情報社会を賢く生きていくために必要な事を考える
インターネットはSNSの誹謗中傷など様々なトラブルも内包しています。安全に利用できるリテラシーを獲得し、賢い使い手になる学習をします。
クラス演劇をつくり上げる
1年生は和光祭で「クラス演劇」を発表します。初めてクラスで取り組む一大イベント。クラスで話し合いながら脚本を選び、全員が大切な役職につきます。脚本の解釈で意見が分かれたり照明や音響の演出で話し合いが白熱することもありますが、それも大事な時間です。仲間の新しい一面に触れながらクラス一丸となって創り上げる演劇はみんなの誇りにもなります。
2年生のテーマ
食と農から世界を見つめる
自分が口にしているものはどこで、誰が、どのように作り、どんな経路を辿ってきたのだろうか。食品添加物はどのように使われていて、私たちの身体への影響やその利点はどこにあるのかなど、私たちが直面する食の問題は様々にあります。専門家をお呼びして実験や調理を通して学習を深めたり、レポートにまとめて発表し、自分たちの生活を捉えなおす時間を大切にしています。また、2年生では、食料生産の問題や食生活から、日本の農家が抱える問題と農業問題、そして永遠の課題であるエネルギーの社会的課題を生徒同士の討論なども含めて多面的に学んでいきます。
秋田学習旅行で「働く」ことの意味を考える
私たちの身体をつくる食にまつわる哲学を問い、本気で何かに向き合う大人と出逢う5泊6日の学習旅行に出掛けます。「働く」は「はた(傍)をらく(楽)にする」と言われます。農家の方々とわらび座員と一緒に「食べる・働く・生きる」の根源的な意味を問い直していきます。
3年生のテーマ
これからの生き方を考える
自分を見つめ直し、今後の人生を自分らしく考えていくために、講演や映画鑑賞、新聞や本を使った研究、そして人との対談から一人ひとりの「生きる」を深め、まとめレポートを完成させます。
15歳の主張
中学3年間の集大成として、授業、行事、総合学習の学びの中で考えてきたことを卒業論文にまとめ、『15歳の主張発表会』を行います。この会は4クラスの合同三役会と教員が一緒に運営してつくられます。前半は代表に選ばれた生徒達の論文が読み上げられます。後半は有志による発表会です。バンド演奏にダンスパフォーマンス、オリジナルの映像作品やジャグリングを披露する生徒が次々と舞台に登場し、会場は笑顔と拍手で温まります。